安全食品工場

技術無き品質は虚しく 品質無き技術は危うい

know how

こんにちは、バイト工場長です。

生産が忙しいときは収益の面では嬉しいものですが、

品質や歩留まりの面で問題を残している場合は手放しでは喜べないのが管理者の辛いところではないでしょうか?

歩留まりが悪いと生産側としても納入数量をいかに満たすか頭が痛いところだと思います。

根本解決が不可欠

食品工場には恐らくたくさんの工程があると思いますが、

工程を超えて不具合を起こしていることがよくあります。

例えば、お菓子の仕上げ包装工程で重量不足製品が発生したとして、

その原因は生地の分割工程にあったり、

焼き物だったとしたら焼き過ぎだったり、

そんな場合はいつまでも仕上げ包装工程で不良を排除しても永遠に問題が解決することはないですよね?

技術の分かれ道

ここで「だって安定しないからしょうがない」としてしまうのか、それとも

「分割を安定させるために手を打つ」「焼き過ぎ防止の手を打つ」と考えられるのか

どちらの道を選べるかで工場の未来が変わるのだと思います。

機械化することができれば最高なのでしょうけど、

なかなか設備投資に見合った効果が見込めなかったり、

新製品で投資に冒険ができないといった場合もあるでしょうから、

多くはまず現状の人と物で乗り切る方法を考えることになります。

上流から決める

基本的に上流の工程の管理精度に対して、

下流の工程はより広い幅で受け止めないと良品率は上がりません。

最終工程の基準が厳格であればあるほど、上流の管理精度はそれを上回るレベルを求められます。

ポイントは上流にあります。

「○○シグマ管理」などでは標準偏差の管理をするはずですが、下流だけがモニタリングしても苦しむだけの場合が多いでしょう。

例えば50gの焼き菓子を±1.0gで管理して包装している場合、上流で1.0g以上のブレがあるとまったく生産にならないと想像できます。

生地玉から切り分けるなんて工程だった場合は、「生地玉が変わるごとに中心重量が変動して大変」なんてことも起こります。

最後は目に見えない要素だけ

そのため、上流工程は徹底して条件を一定にする管理が求められます

例えば生地玉一つを作るとしても以下の点ぐらいは一定にすることができるはずです

・・・と、この程度までは努力をして最後は目に見えない要素、

ブレ幅が残るのは例えば「柔らかさ」「締まり具合」「引きの強さ」「コシ」といった要素だけにしたいものです。

上流が決まったら

ここまで決めて、次に生地玉の切り分けを一定にする努力。

無造作に経験を頼りに切り分けるとか、大体の重量を量って分けるとか色々あると思いますが、徹底して再現性を求めましょう。

「いちいち量ってられない」作業性を求められる場合などは、いったん一定の厚みに延ばして一定面積に切り分ける道具を使用するなども有効だと思います。

(厳密にいうと柔らかさが違うと同じ厚みにしても面積当たりの重さは変わりますが・・・)

自動圧延分割機械であれば柔らかさによって機械の圧延隙間やローラー回転数などの数値で誤差を吸収していく局面が該当するでしょうか。

こういった一連の数値化をすることで上流工程の中間製品(アウトプット)が一定になってくるでしょう。

上流のアウトプットが一定になってきたら下流の工程はどんどん余裕が出てきます。

そこからが品質

衣食足りて礼節を知る・・・ではないですけど、良品率が上がってこないと本気で品質に向き合うことは難しいと思います。

上流が安定したらきっと仕上げ包装工程は今迄みたいに

などといった無駄な手間から解放されるでしょうから、

本来の「包装状態のチェック」や「中身の状態のチェック」といった業務に時間を割くことができるようになるはずです。

技術の引き出し

機械の調整技術だけではなく、製品そのものを一定にするためには原材料や生産時間、室内の温度といった様々な要素を合わせていくことが欠かせません。

包装機械にしてもフィルムの伸びの違いによってローラスピードや挟み角度、挟み強度、ヒーター温度など様々な部分を数値化することができます。

食品って同じような見た目でも「毎回条件が違う別物のようだ」と思ったほうが良いくらいバラつきがあると思いますので、

そのバラつきの影響を小さくする管理も立派な技術だと思います。

最上流ではなく中間の管理を機械技術で改善はできるかもしれませんが、食品に負荷を与えている場合は危険な印象です。

機械技術も含めて食品のバラつきを的確に打ち消せるくらい管理技術の引き出しを持っておきたいものですね。

 

本日も最後まで読んでいただきありがとうございました。何かのお役に立てれば幸いです。