こんにちは、バイト工場長です。
工場を運営していれば機械や設備の故障を避けて通れないのが辛いところです。
そして故障した機械はできるだけ早く復旧してほしいと願うのは誰も同じだと思います。
しかし故障した時に次から次へと畳みかけるようにトラブルが重なったり、
場合によってはさらに深刻な故障へ発展させてしまったりすることがありませんか?
今日はそんな「二次災害」の傾向について考えたいと思います。
修理する前の準備が足りない
二次災害をよく招く傾向がある人がやりがちなことですが、
圧倒的に準備が足りていないことが目につきます。
準備と言っても沢山ありますので、恐らく思い付きで取り掛かると忘れてしまったりすることは想像がつきます。
私が機械の整備や応急処置をするときの「準備」と思う行動だけでも以下のボリュームがあります。
- (生産の中断があったなら)製品の安全を確認する
- 不具合個所を特定する
- どういった工法で臨むか決定する
- 現状を記録する
- 予備部品を用意する
- 養生(製品の汚染防止)をする
- 必要な工具を用意する
- 処置を担当する従業員を確保する
- 再スタートする時の大まかな予定を立てる
準備も4M
上の行動を見てみると準備の段階からすでに「4M分析」が活用されていると言えますね。
特に最初の4つの行動を誤ってしまうと深刻な問題に発展したり、替えなくてもいい部品を替えてしまったりしそうです。
上にあげた9つ以外にも各社で特別に留意するべきポイントがあると思いますが、
分析する際には4Mを思い出してみると欠けている目線が見つかるかもしれません。
致命傷を回避する
中でも二次災害の常習犯が犯すミスが4番の「現状を記録する」ことを忘れることで、
組み上げた後に機械を壊したり、良品が製造できなくなったりします。
これをやられると後の祭りなので、けっこうな致命傷を負って大変な労力が掛かったり、
下手をすると機械が再起不能になったりする危険を含んでいますので、
以下の具体例を防ぐために策を講じなければいけません。
- マーカーやけがきで目印を付けていなかったせいで据え付けていた場所がわからなくなる
- 方向性がある部品の取り付け方向を控えていなかったせいで逆向きに取り付けて機械を壊す
- ボルト、ナットの締め付け位置と固定部品の高さを計測していなかったせいで他の部品と接触させてしまう
- エアーホースにそれぞれ識別記号を付けずに抜いたせいで取り付けを間違えて、動作させたときに壊してしまう
- 電線を端子台から外すときに元の配線を控えていなかったせいで基板や部品を損傷させてしまう
- ブロアーやコンプレッサー、真空ポンプ、ヒーター、モーター電源、インターロックなどのスイッチをOFFにしていたのを忘れて再スタートして動作不良を起こさせて機械を壊す
- 密閉部品を分解するとき中のパッキンやOリング、ブッシングなどの順番を控えていなかったせいで漏れが止まらなくなる
- 駆動部やエンコーダーの原点(ゼロ点)に目印を付けずに分解してしまったせいで、組み立てて動かしたらタイミングがバラバラ、原点を合わせずに後のタイミングでごまかして動作がぐちゃぐちゃ・・・部品も破損・・・
- バックアップを取らずにシーケンサーのラダーやカムポジショナーの設定を書き換えてしまい、再起不能にしてしまう
いかがでしょう?
笑って済ませない深刻な失敗も沢山ありますね。
中には過去に自分や部下がミスしてしまった例がありますか?
対策の一例
オペレーターが初期対応も兼ねる場合や、保全担当者・技術支援担当者が経験が浅い場合など、
そういった場合は初動の段階をよく見てあげないといけません。
①少なくとも経験が浅いと慌ててしまったり、対処の方法が想像できなかったりしますので、
「この場合はまずAとBの部分を点検して、もしAが破損している場合はCを取り外したうえで交換するよ。」「ただし、Cを取り外すときにはOリングが入っているので切らないように注意するよ。」といった具合に
対処法の流れを把握させてあげたり、事前に注意点を明らかにしてあげるといいでしょう。
②また、初動で確認する項目のチェックリストを用意してあげて、リストに沿って抜けがないように確認させることも有効です。
これに関しては機械別・トラブル別(エアーシリンダー編、モーター編、サーボ編など)でリストを用意するなどすると、対処する担当者には心強いでしょう。
③その上で今回の処置をどのような順序で進めるつもりなのか、処置の計画を必ず言わせてみましょう。
それによって自主的に考えて計画的に対処する訓練になりますし、間違いを未然に防止するチェックにもなります。
珍しいトラブルは教育のチャンスでもありますので、その面でもしっかりと準備して活用したいものです。
④配線のパターンや、ホースのつなぎ方、分解する前の状態などはカメラで撮影することが手っ取り早いです。
慣れないうちはうっかりカメラで撮る前に分解し始めてしまいますが、チェックリストに「□分解前の状態の撮影」などと入れておけば少しは忘れる可能性が低くなるでしょう。
二つのMでハイブリッドな分析を
ここに挙げた例は4Mの中では「Machine(機械)」に分類されるかもしれませんが、
その内容を細かく見ていくと「Man(人)」の力量不足であったり、「Method(方法)」の間違いであったり、「Measure(尺度)」の不一致であったり
対策を検討する上では「もう一つのM」を暴き出して適切に再発を防止することが欠かせません。
最近ではムービーも進化していますので、スローで分析したり、手順やルールといったものも手軽にムービーで観察することができますね。
自社専用に作成した機械だと、解決できるのはやはり自分たちだけってことになりますので、
うまく「根本的解決を握っているM」を見つけ出して、ピンポイントで対策を打ちたいものです。
そのためにも「二次災害」を封じ込めることは非常に意味が大きいものだと言えます。
本日も最後まで読んでいただきありがとうございました。何かのお役に立てれば幸いです。
最近のコメント